2007年9月に行われた、第22回弦躋塾セミナーの動画(全6巻)をYouTubeにアップしました。特別講師は兵頭明先生です。「やさしい中医学の総て」というテーマで、経穴の主治法則や、色々な選穴方法と配穴、基本的な病理の解説等を分かりやすく解説していただきました。また、統合リハビリテーションに鍼灸を用いてマヒや震顫の治療をしている動画や、転倒予防や誤嚥の予防に有効な配穴の紹介もありました。「やさしい…」とありますが非常に濃い内容で、私なら一度聞いただけではとても覚えきれない情報量です。また迫力のある実技も披露されており、兵頭先生の人柄と熱意の伝わる講演でした。また、この動画で使用したスライドや、その他参考となるPDF資料等が兵頭先生のサイトから閲覧できますので、それらを活用すれば理解がより深まると思います。セミナー動画の公開を快諾して下さった兵頭先生に感謝いたします。
第1巻
第2巻
第3巻
第4巻
兵頭先生の講演からメモ
・榮兪は外形を治す~経絡病証や経筋病証の場合、榮穴・兪穴の反応が強く出ている所を
使うと治しやすい。
・瘀血、臓腑が絡むと循経だけでは治らない。臓腑病証は原穴、背部兪穴、募穴、下合穴
の虚実反応を診る。
・五臓の反応は原穴や背部兪穴に、六腑の反応は募穴や下合穴に現れやすい。
・気血津液病証が現れやすい経穴は上・中・下焦と分けた場合、気機の問題なら膻中・
中脘・気海。血の問題なら三陰交・血海・膈兪。水湿の問題なら陰陵泉・委陽・中極。
痰の問題なら豊隆・足三里・中脘。水や血の問題は舌所見も合わせて、多面的にとらえ
ること。
・水分代謝が悪いとき、委陽や陰陵泉や舌の反応には相関性がある。治療後に舌所見を
みて、効果があったかどうかの判定もできる。
・どこで(病位)何が(気や血や津液が)どうなっているか(症状)を把握することで弁証
結果が出てくる。たとえば息切れ・倦怠・無力感といった症状から気虚と確認されたもの
に、病位(たとえば肺と脾)の情報が加われば、脾肺の気虚という弁証になる。治療は、
気虚に対しては補気の要穴(合谷、足三里、気海など)、脾と肺という病位に対しては、
その臓腑経絡と関連する原穴、背兪穴、募穴、母穴の中から補気を目的に選穴する。
・細脈は陰虚と血虚にあらわれる。陰虚では虚熱のために細数で舌質紅。血虚の細脈は舌質
が淡となる。
・陰液は循環しない。舌所見にひび割れとして現われていれば陰虚である。地図舌や無苔も
陰虚の所見である。
・補陰に優れているのは復溜。どんな陰虚にも使える。補陰+虚熱が強ければ照海を使う。
・血証の要穴は三陰交、膈兪、血海。虚実を問わず用いられる。
・実熱には榮穴や清熱の要穴(合谷、曲池、内庭など)を用いる。
・豊隆は全身の痰を去る。
・陰陵泉は全身の水湿を治療する。
・太谿は腎気と腎陰を補う。
・太衝は肝実証、肝虚証、寒滞肝脈に有効である。
第5巻
第6巻
首藤塾長は鍼の刺激量についての講義と、肝虚証の実技をされています。講義では、その人に合った刺激量をどう決めるべきか、色々な条件から見極める方法を解説されています。また瞑眩現象については「無いほうがよい」と述べ、治そうと思うあまり刺激過多に陥って失敗しないように諫めています。首藤先生の言葉はすべて経験から語られています。その時は何となくしか分からなくても、ある時期になって自分が同じ状況に遭遇すると、ハッとその意味が理解できます。臨床経験を積むほど、首藤先生の教えが心に響いて来るのだと思います。私は当セミナーには不参加だったので、今回の編集作業で初めて映像を見ました。とても11年前とは思えないほど新鮮な気持ちです。新しい発見があり、自分の至らない部分に気づかされます。講義と実技、特に触診や取穴の様子を繰り返し見て勉強しようと思います。なお、全体を通してカメラの手振れで見にくい部分は削除または静止画像にしてありますが、刺鍼のシーンはそのままにしました。
コメントをお書きください
鈴木(呉竹OB) (土曜日, 19 5月 2018 14:41)
いつも貴重な動画を有難うございます。
今回の兵頭先生のセミナー、大変勉強になりました。
また、証診断をはじめ配穴論など。日々の参考にさせて頂いております。
特に捻転の補瀉手技は、てい鍼の場合でも再現性が非常に高く驚きです。
今後とも宜しくお願い致します。取り急ぎ御礼まで。
高嶋 (月曜日, 21 5月 2018 09:31)
兵頭先生の講演、とても勉強になりますよね。
私も補瀉手技を鍉鍼の治療に応用しています。
動画編集は細かい作業が多く、目を酷使するので、なかなか思うようにはかどりません。
しかし鈴木さんのように温かい言葉をかけていたたくと励みになります。
ありがとうございました。