カテゴリ:2017年6月


19日 6月 2017
 2017年6月10~11の2日間、東京大学本郷キャンパスにて第66回全日本鍼灸学会・東京大会が開催されました。大会テーマは、世界に誇る日本鍼灸~「東京宣言」確立のためのプログレスです。一言でいえばTCMおよび海外で行われている鍼灸に対して、日本鍼灸の何が優れているのかを検証し、さらに進歩・発展させるための大会です。懇親会時の発表によると、約2400名の参加者があったそうです。私が聴講したのは、ips細胞を用いた再生医療、ゲノム治療、先制医療、体性感覚の研究、触れることの意義など7つの講演です。今回 も自分の臨床の糧となる学びが沢山ありました。 会頭講演「東洋医学と西洋医学どちらが本質治療に近いのか」 ・画像診断はあてにならない→陽性であっても痛みを感じず、また陰性であるにも関わら  ず痛みを感じるケースが多々ある。痛みや軟部組織といったものは客観的に見ることが  できない。デカルト科学は近代合理主義・要素還元主義であり、理論的・客観的である  ことが求められ、対象を分析・細分化していく特徴があるが、人間のように複雑な対象  は苦手である。 ・病因論からみても、原因=症状だけではなく、その人の体力や環境が関わってくる。た  とえば腰痛の原因は単一的ではない。 ・西洋医学の治療はアロパチー(症状と反対のことを薬で行う)であるが、そもそも発熱  は生体が自らおこなっていることで、ウイルスがさせているわけではない。消炎剤は治  療を先延ばしにしている。対して東洋医学では生体の働きを促すようにする。たとえば  風邪の場合、漢方では発熱を促進させ、鍼灸では血行を促進させるように治療する。 ・高血圧の理由は全身に血液を送るためであり病気ではない。高血圧は脳出血のリスクで  ある。 ・筋緊張と心の不安は相関する。鍼灸治療は病態説明により病気への不安を解消し、傾聴  的な態度で悩みや苦痛を受けとめ、悪いところに触れる。より本質的治療に近い。 ・生活習慣を改善するのが本態的治療である。